国家の品格 by藤原正彦
浅田次郎さんの長男にして、お茶の水女子大教授である数学者が語る日本の国家論。
刺激をいただいたフレーズは、次のとおり。
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・戦後、世界に誇るべき「情緒と形」を忘れ、欧米の「論理と合理」に身を売った。
→祖国への誇りや自信を失うように教育され、日本の国柄、国家の品格を失った。
・祖国愛とは、「パトリオティズム」。自国の文化・伝統・情緒を愛すること。
→「ナショナリズム」とは、自国の国益のみを追求する、あさましい思想。
・自然への繊細な感受性を源泉とする美的情緒が、日本人の芸術性の核である。
→単なる飲み物を「茶道」に、文字を「書道」に、昇華させる。
・”委任統治”とは、自ら統治できない人々に代わって、統治してあげること。
→「文明の神聖なる使命である」という趣旨が国際連盟で規約されていた。
→第一次大戦後、日本が提唱した「人種平等法案」は否決されている。
・「武士道」では、強いものが弱いものを倒すことは卑怯である。
→「市場原理主義」では当然の考え。勝者がすべてを手に入れる。
・現在の米国、日本では三権分立が崩壊し、マスコミが頂点にたっている。
・「自由」という言葉のせいで、日本古来の道徳や伝統的な形が傷つけられた。
→米国は「自由」を国是とし、基本的な人間の権利とされている。
→日本的に「自由」は、身勝手を助長するだけ。
→そもそも人間には自由がない。法律、道徳、倫理で規制されているはず。
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編集後記
伝統的な考え方、宗教観の違いがある国々が、平和を維持することは至難のバランス。ナショナリズムに傾倒するトランプ氏のような存在は、日本人的には異形に映るってことでしょうか。著者がいう「マスコミが頂点」にも一部納得。様々な情報を精査できるリテラシーも必要となってきますね。